『サード・パーソン』

『サード・パーソン』見てきました。

「クラッシュ」「告発のとき」のポール・ハギスが監督・脚本を務め、リーアム・ニーソン、エイドリアン・ブロディ、ミラ・クニスら豪華キャストで描いたミステリードラマ。パリ、ローマ、ニューヨークと離れた場所で織りなされる3組の男女の物語が交錯し、やがて驚きの真相にたどり着く。パリのホテルにこもり、最新作を執筆していたピュリッツァー賞作家のマイケルは、野心的な作家志望の女性アンナと不倫関係にあったが、アンナにもまた秘密の恋人がいた。ローマのバーで出会ったエキゾチックな女性に心を奪われたアメリカ人ビジネスマンのスコットは、彼女の娘が密輸業者に誘拐されたと聞き、女性を助けようと決意する。ニューヨークに暮らす元女優のジュリアは、息子の親権をめぐって元夫と係争中。裁判費用を稼ぐため、女優時代に利用していた高級ホテルでメイドとして働き始めるたジュリアは、弁護士の助言に従い、裁判所からの心証をよくするために精神科医の鑑定を受けることになるが……。
（eiga.comより引用） 

パリ、ローマ、ニューヨークを舞台に繰り広げられる群像劇で、それぞれのパートで残されていく伏線が、最後に思わぬ形で回収するといった作品。見終わった後に直ぐに見返したくなるような作品。おそらく再見すると新たな発見があるだろう。以下、ネタバレ含む自分なりの解釈。

マイケル（リーアム・ニーソン）が過去に浮気相手との電話で目を話した隙に子供が溺れて亡くなっている。その事が原因で妻エレイン（キム・ベイシンガー）とは別居中。

新作の原稿を読んだ編集者の感想「二作目以降は自分の人生の言い訳を書いているだけだ」を考えると、ローマとニューヨークのパートはマイケルが書いた小説。殺してしまった息子や別居中のへの気持ちを現すものかな。

ローマではビジネスマンのスコット（エイドリアン・ブロディ）が娘を仕事の電話で目を話した隙に子供が溺れて亡くなっている設定になっている。娘が携帯に残した留守電を保存して120日間毎日聞く。これはマイケルの殺してしまった子供に対する愛の現れ。

また、スコットはバーで出会ったばかりの怪しげな美女モニカ（モラン・アティアス）の娘のために大金を用立てし、危険な世界に足を踏み入れていく。これは、殺してしまった子供を何としてでも取り戻したいといった気持ちが現れたもの。

モニカが「何も聞かずに私と逃げて」と言い、スコットがそれに応える。これは妻エレインへの無条件の愛を現している。 

ニューヨークでは元女優のジュリア（ミラ・クニス）が自ら息子を傷つけてしまい、夫のアーティストのリック（ジェームズ・フランコ）に子供を取られて親権争いを行っている。ジュリアは息子を自ら傷つけた事を隠して、事故だったと主張している。精神状態が不安定なのは自らにも嘘をついているからだろう。精神状態が不安定な事や、不慮な事故も重なり、なかなか息子と面会ができない。これは、マイケルの子供に会いたいが会えない気持ちの現れ。

どうしても息子に会いたいジュリアはリックと息子が住むアパートに押しかける。リックから「本当の事を言えば息子に合わせてやる」と言われ、ついに自ら息子を傷つけた事を認めるが、リックは真実を知った事で激昂しジュリアを追い払う。ここでジュリアと息子がエレベータで短時間だか一緒になり、息子に父のリックを案ずる言葉（細かく憶えていない）を語る。キムはマイケルを責めたてるが、それに対して怒りはない。それでも愛しているといった気持ちの現れだろう。

リックはエレベータ内の会話を知り、ジュリアを赦す。これは、妻エレインに赦して貰いたい気持ちの現れ。

パリは現実のお話。 マイケルのアンナ（オリビア・ワイルド）への愛は本物だろう。パリも小説の話かなとは思ったが、タイトル「サード・パーソン（三人称）」から考えると、マイケルは自分自身を三人称で見ていて、「彼」はアンナを愛し、「私」はエレインを愛しているといった事なのかな。

「彼」と「私」、アンナとエレインのどの組み合わせなのか迷ったが、妻へは原稿を渡しているがアンナは店頭に並んで知るし、各パートのパートナーへの愛を妻エレインへのものと考えると合点がいく気がする。

バラバラに話が進む各パート、その中で唯一メモが重要な鍵としてパリの話にワープする。まだ繋がっていないが、これは一つの世界（マイケルの小説の中）なのだと明示するものと解釈したが、それならモニカが電話番号をメモするのはこの”メモ”になるはず。ジュリアも途中ワープしたので、何か別の意味があるのかもしれない。ここは再見して確認したい。