2014年8月25日月曜日

『STAND BY ME ドラえもん』機械的に泣かせてくる猫型ロボット

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タマフルのムービーウォッチメンの今週のお題作品になったのを機に感想を書こうと思います。
3Dと通常版と2回鑑賞しました。




まずこの作品についてですが、「ドラえもん」原作者の藤子・F・不二雄さんの生誕80周年を記念して製作された作品で、シリーズ初の3DCGアニメーション作品になっています。原作から以下の厳選された7つのエピソードを繋いだものです。

・未来の国からはるばると
・たまごの中のしずかちゃん
・しずちゃんさようなら
・雪山のロマンス
・のび太の結婚前夜
・さようならドラえもん
・帰ってきたドラえもん


初めての3DCG作品という事で、各キャラクターの異様な立体的感に違和感こそ覚えるのですが、よくよく見るとキャラの特徴を引き出したデザインになっているなと感じます。ドラえもんはアニメや漫画の質感を壊さずにちゃんとドラえもんしています。より華奢でひ弱な感じなのび太くん。低姿勢で猫背なスネオや、荒々しいジャイアンのデザインが素晴らしい。そして何より可愛いしずかちゃん。この可愛いしずかちゃんの立体キャラデザだけでも5億点です。

各キャラに言えることなんですが、髪が妙にサラサラなのに違和感があったんですよね。ディズニーとかを真似てる気がしましたが、日本人の黒髪でそれをやると何か違和感が残りました。似合っていたのはしずかちゃんくらいです。



タケコプターで町を飛び回るシーンや、どこでもドアの向こうの世界にちゃんと奥行きがあったり、未来の都市で未来ののび太くんをチェイスするシーンで3Dを効果的に使っていて良かったです。日本でもこれくらいの3DCGアニメーションが作れるんだと感動すら憶えました。

単体のエピソードを強引に繋げているので、どうしてもドラえもんとのび太以外のキャラが薄いんですよね。ジャイアンとスネオはまだ良いとしても、しずかちゃんは各エピソードでの重要キャラなのにあまりキャラが立っていないのはダメだと思います。

前述したように原作の感動エピソードだけを繋いだだけなのでどうしても機械的に感じてしまいます。寿司屋で例えるなら回らない寿司屋で食べて美味しかったネタが回転すしやで立て続けに7つ流れてくる感じです。(わかりづらい)
白身 ⇒ トロ ⇒ 光り物 ⇒ イカ ⇒ 玉子 ⇒ 貝類 ⇒ 海老 ⇒ 穴子 ⇒ かっぱ巻と食べるから美味しかったトロ、イカ、海老、穴子だったのに、いきなり脂っこいトロが流れてきて、からからの喉にむりやり流し込んでる間に、次のネタが通りすぎたみたいな感じです。

山崎監督は『ALWAYS 三丁目の夕日』で有名ですが、『ALWAYS 三丁目の夕日』でも感じた"観客を信頼せずに説明過多で不快感"が本作にも見受けられました。この監督は何事も説明しないと気がすまないんだと思います。
本作でのそれは「成し遂げプログラム」というものです。

簡単に言うと

・将来のび太くんとしずかちゃんを結婚させること
・将来結婚ができない状態であれば未来へは帰れない
・将来のび太くんとしずかちゃんが結婚できのび太が幸せを感じれば「成し遂げプログラム」達成として強制的に未来に戻される
・意に反した行動や言動を取ると電流が流れる

というものです。

恐らく、ドラえもんが未来から来た目的と理不尽な別れを説明するための設定なのでしょう。各キャラを掘り下げない観客への信頼があるのであれば、この設定こそ勇気をもって外して欲しかったです。「合理的に説明しないと不親切」「ここで泣くのですよと教えてないと観客はわからない」でしょと監督に思われているんだろうなー。

『ドラえもん』を実写版でリメイクしているトヨタ自動車のCMでのび太を演じている妻夫木が青年のび太の声をやっているのですが、見事にハマっていて良かったですね。スポンサー枠での出演と思いますが、この配役は見事と思いました。結構高得点だと思います。

巷ではエンドロールで流れるNGシーン集が言われていますが、僕は特に気にならず。なんでだろう、ピクサー作品で慣れているからかな。虚構だというのは示して良いんじゃないですかね。実際に虚構ですし。

『STAND BY ME ドラえもん』基本情報


タイトル
=STAND BY ME ドラえもん

監督
=八木竜一
 山崎貴

キャスト
=水田わさび(ドラえもん)
=大原めぐみ(のび太)
=かかずゆみ(しずか)
=木村昴(ジャイアン)
=関智一(スネ夫)

ストーリー概要
藤子・F・不二雄生誕80周年を記念して製作された「ドラえもん」シリーズ初の3DCGアニメーション。原作から厳選されたエピソードを再構成し、ドラえもんとのび太の出会いから別れまでを描いた。「フレンズ もののけ島のナキ」を手がけた八木竜一と「永遠の0」「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴が共同監督。何をやらせても冴えない少年のび太のもとに、22世紀の未来から、ネコ型ロボットのドラえもんがやってくる。のび太の孫の孫にあたるセワシが、ご先祖様であるのび太の悲惨な未来を変えるために送り込まれたドラえもんだったが、当のドラえもんはあまり乗り気ではない。セワシはそんなドラえもんにやる気を出させるため、のび太を幸せにしない限り22世紀に帰ることができないプログラムを仕込む。かくして仕方なくのび太の面倒をみることになったドラえもんは、のび太がクラスメイトのしずかちゃんに好意を抱いていることを知り、のび太としずかちゃんが結婚できる明るい未来を実現するため、数々の未来の道具を駆使してのび太を助けるが……。トヨタ自動車のCMで大人になったのび太を演じている俳優の妻夫木聡が、青年のび太の声優として参加している。(eiga.com)

予告編
https://www.youtube.com/watch?v=RP-KqRkDWS0

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