タマフルのムービーウォッチメンの今週のお題作品になったのを機に、『GODZILLA ゴジラ』の感想を書こうと思います。
既にゴジラは居た
ハリウッドでのリブート版『GODZILLA ゴジラ』の一作目という事で、ハリウッドでの過去作のリブートの例から考えると、本来であれば一作目はゴジラの起源から再構築するのだろうと予想していましたが、”既にゴジラは居た"前提とし、一作目からバトル物に展開した大胆さに凄く驚きました。
シリーズ物のリブートの場合、一作目は説明にリソースが割かれてテンポが悪くなるものですがそれを嫌っての事なのでしょうか。
日本以外の国では突然ゴジラという怪獣が登場すると”なんのこっちゃ”となりそうですが、北米を筆頭に世界で好成績を収めている点を鑑みると杞憂だったようです。
過去に人類が経験した災害を連想させる描写
日本の原子力発電所のメルトダウンやゴジラのハワイへの上陸時の"津波"は東日本大震災の3.11を彷彿とさせます、他にもムートーによるEMPアタックで動力を喪失した戦闘機が高層ビルに衝突するシーンや航空機の墜落現場をバックに緊急通報用電話の会話が流れるシーンは9.11を彷彿とさせます。実際に怪獣による破壊を描かなくても“被害”の甚大さを想起させています。とても残酷なリアリティ手法だと感じました。
『ゴジラ(1984)』が核に対する恐怖のメタファとするなら、本作のゴジラやムートーは、災害による恐怖といったところでしょうか。
人間視点と神の視点
東宝版のゴジラというと、"神の視点"が有名です。今回の『GODZILLA ゴジラ』については徹底して人間視点で描かれています。
迫り来る怪獣を背に走って逃げるシーンは幾度と無く描かれてきましたが、本作ではそれすら許されません。まずは津波から逃げないといけないのです。
ゴジラやムートーの"怪獣"といった自然の前で、いかに人間が小さい存在かを提示してきます。
徹底した人間視点がラストで"神の視点"に切り替わるのがまた素晴らしいのです。
"怪獣"の本能と神になろうとする人間
ゴジラ、ムートーの動機も単純明快なものなのが素晴らしいです。ムートーは繁殖のための巣を作りたいだけ。ゴジラはムートーを殺したいだけ。
単純な事をしているだけだけだが、人間視点では災害そのものなんです。蟻のような人間なんてお呼びでない感が素晴らしい。
そこにちゃんと人間の愚かさが描かれているのも良いですね。本能のままに、ただ圧倒的な力をもって人間の世界を蹂躙する“怪獣”たちをまざまざと見せつけられてもなお人間は"自然"をコントロールしようとします。
市民を守るべく持ちだした核ミサイルをムートーに奪われ、サンフランシスコもろとも吹き当ばそうとしていた一番危険なことをしていた米軍の愚かさが良い。
しかし、愚かであれ人間はこうあるべきだとの"希望"も示します。人間は神になろうとするべきなんですね。それが"進化"なのですから。
不満点
・ゴジラとムートがホノルル空港で初めて衝突するシーン
ゴジラの咆哮直後にシーンが切り替わり、その後何が起こったかはニュース映像になります。
ここでひとバトル入れちゃうとテンポが悪くなるのはわかりますが、せめて一撃でもいいので見たかったです。
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